濵田優

HAMADA Yu

memento mori

イラストレーション|紙、インク
各H725 × W1030mm(2点)、各H515 × W725mm(2点)、H725 × W515mm、H420 × W594mm、H362 × W515mm、H515 × W362mm、各H365 × W260mm(2点)、H298 × W210mm

作者より

1年以上の期間、生物の死骸を観察してドローイングを行ってきた。どこからか現れた蛆によって死骸は崩壊し、悪臭を放ち、やがてその身体に静寂を宿す。とてつもないエネルギーを孕んだ現象だが、これらは私たちの身体に起きていることの延長に過ぎない。同様のことが今まさに体内で起きており、また、死んだ肉体を養分に新たな生命が生まれることを考えると、大きな循環の中に自分自身がいることを実感する。そして、自らが死に向かっていることを知る。
これは死の姿を徹底的に観察し、感じた事を丁寧に記録することに挑戦した作品群である。

濵田優

担当教員より

作者がこれまでずっと気になっていたこと、それは「死」とは何かについてであり、それが本作の動機だ。脳死などの今日的、医学的知見はもとより、宗教・文化・絵画史的な探究の過程で彼は人類の遺してきた膨大な死をめぐる図像をみた。その上で彼がこの1年以上かけて行ったことは様々な要因で出会った動物の死骸を目の前に置き、ひたすら見つめ観察し、淡々と壮絶に描くことであった。彼はそこで死体が腐敗し朽ちるまでの巨大なドラマとエネルギーを見、体感している。言葉では語ることのできない死についての、これは現代の九想図なのだ。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策