河北瑠慧

作者より

この作品では構築された美的価値観から離れて人間の容姿を観る体験を試みた。

中身を入れる器でしかないくせに、生まれ持つ容姿は選べない。
けれど肌には確かに歴史が刻まれていて、身に纏うものが人の一面を映すこともある。

人間の肌を人間でないものに当てはめた時、何を感じるだろう？美しさの基準はあくまでも個人の中で作られた感覚でしかない。

ありのままを愛するも、変えるも、大事なのは自分がどうしたいか。
あなたはあなただけのものなのだ。

河北瑠慧

担当教員より

河北さんは最初からテーマを「容姿」にすると決めていた。しかし、河北さんはとにかく悩む人である。ゼミでもずっと悩んでいた。その悩みの結果のひらめきが「人間の肌を魚で表す」。実は私も最初はその方向性があまり理解できていなかった。しかし紆余曲折、いろいろな葛藤や試行錯誤の末の作品にはその物体的なクオリティとともに作者の本意が見事に結実している。本物の老人のような肌のウツボを見ていると作者の真意がものすごい勢いで伝わってくる。

視覚伝達デザイン学科教授　古堅真彦