構造体な布 space – position in structural fabricプロダクトデザイン|布、木、縫製各H465 × W480 × D395mm(2点)
一枚の布から椅子になる。 布に木材を内包させることで、柔らかい布と硬い木が互いの動きに制限をかける。そうすることで繊維方向が生まれたり、折り目が生まれたりと布単体では持ち得ない構造を持った布になることができた。 椅子を組み立てるための構造を展開した時、布の余白と芯材の関係が必然的なものとして布に現れる。そうした余白と配置の関係が立体化するための構造となる。 「構造体な布」は椅子のための展開図となり、椅子のための布である。 muto yumi(武藤結実)
一枚の布に椅子を構成するパーツを個々に展開図のように縫い込み、その状態のまま組み上げ、椅子として成立させるというアイデアが生まれてからの数えきれないほどの実験の量は途方もないものであった。部材の大きさや配置の間隔、組み上げ方法、布の厚みの検証など全てが全く新たな試みであり、不可能に思えたことが何度もあったが、手を動かし続けて最後の最後に十分に座れる構造強度を有した椅子となった。木材と布、双方の強度・特色を生かし成立しているという緊張感を持ちながらもウィットの効いたデザインと、それを仕上げた手法は秀逸である。余分な部分の布は意図的に残し、組み立てのプロセスを暗示していながらもユーモラスな印象も与える。 固定化した生活のための家具の概念を切り崩す作品と言え、今後さまざまな可能性を秘めた作品としてさらなる発展・展開に期待したい。 工芸工業デザイン学科教授 山中一宏
作者より
一枚の布から椅子になる。
布に木材を内包させることで、柔らかい布と硬い木が互いの動きに制限をかける。そうすることで繊維方向が生まれたり、折り目が生まれたりと布単体では持ち得ない構造を持った布になることができた。
椅子を組み立てるための構造を展開した時、布の余白と芯材の関係が必然的なものとして布に現れる。そうした余白と配置の関係が立体化するための構造となる。
「構造体な布」は椅子のための展開図となり、椅子のための布である。
muto yumi(武藤結実)
担当教員より
一枚の布に椅子を構成するパーツを個々に展開図のように縫い込み、その状態のまま組み上げ、椅子として成立させるというアイデアが生まれてからの数えきれないほどの実験の量は途方もないものであった。部材の大きさや配置の間隔、組み上げ方法、布の厚みの検証など全てが全く新たな試みであり、不可能に思えたことが何度もあったが、手を動かし続けて最後の最後に十分に座れる構造強度を有した椅子となった。木材と布、双方の強度・特色を生かし成立しているという緊張感を持ちながらもウィットの効いたデザインと、それを仕上げた手法は秀逸である。余分な部分の布は意図的に残し、組み立てのプロセスを暗示していながらもユーモラスな印象も与える。
固定化した生活のための家具の概念を切り崩す作品と言え、今後さまざまな可能性を秘めた作品としてさらなる発展・展開に期待したい。
工芸工業デザイン学科教授 山中一宏