二階堂真優

NIKAIDO Mayu

すぐそばの自然を知る
Know nature located near our life

紙、MDF、スチレンボード、ほか
写真パネル|H594 × W841mm
映像|1分00秒
図表|H1380 × W841mm
模型|H95 × W650 × D75mm
写真集|H365 × W281mm(275ページ)
バインダー|H365 × W281mm
フィールドノート|H180 × W130mm(140ページ)

作者より

私たちのすぐそばでは、小さな様々な生きものが関係しあって生きている。
黒川清流公園に通い始めたころ、最初は公園内の雑木林の膨大な情報量に圧倒された。だが、夏にカブトムシの死骸に集まるさらに小さな虫を見たことや、出会う方と話したりするなかで少しずつ生きものや人が関係性で繋がっていることが見えてきた。この作品では、5つの媒体により公園での生きものとそこに関わる人の関係性を知ることが出来るようにした。だが、ここにある関係性は私が見た一部でしかない。実際にはもっと沢山に複雑に広がっているはずだ。

二階堂真優

担当教員より

東京都日野市黒川清流公園の観察を通して発見した出来事を記述した作品である。ここは段丘崖の雑木林。崖下からは水が湧く。作者は、公園のせせらぎ脇の遊歩道を歩くことから始め、東豊田緑湧会の緑地保全活動に参加し「ナラ枯れ」や「粗朶柵(そださく)」を知り、生き物の営みの美しさに目をみはり、観察する対象と自分との距離を次第に近づけていく。その実体験を綴った写真集。カブトムシの死骸の隙間で蠢く生き物たちを凝視する映像。動植物と人の相関図表。公園地形の立体模型。対話とスケッチのフィールドノート。これら5つの媒体によって、雑木林の生き物は絶えず他との関係を繋ぎ続けて「私たちの隣で生きて循環している」ことを示してくれた。地元での作品展示を期待しよう。

視覚伝達デザイン学科教授 齋藤啓子