甘利早

AMARI Saki

音楽のかたち―東洋的な視覚表現の試み―
Music Visualization

インスタレーション|パネル、紙、PC
タペストリー|H1500 × W7000mm
本|H369 × W270mm
年表|H369 × W270mm
映像|2分50秒

作者より

僧侶が唱える声楽「声明」の楽譜を初めて見た時、
そのメロディーや高揚感が明快に伝わるビジュアルに驚いた。
楽譜といえば五線譜しか知らなかった私は、
その自然的な記述方法に惹かれた。

本作品は、「声明譜」や「雅楽譜」などの東洋的な音の捉え方、
また20世紀の芸術「図系譜・具体詩」などの考え方を参考に、
音楽の新しい視覚表現を試みたものである。

音楽を、新たに定めたルールに変換して記譜すると、
新しい音のビジュアルが見えてくる。

様々な音が音が合わさって一つの音楽となる中で、
「間、強弱、ハーモニーの視覚的な表現」という、
五線譜で表現しきれない要素をどう視覚化するかを模索した。

甘利早

担当教員より

音楽にかたちはあるのか。音を視覚化にするには。メロディ、ハーモニー、リズム。西洋の五線譜は音を作る方にとっても、聴く方にとっても両方の共有記号として機能し続けている。けれども音と音の間、感情、感覚は記述できているのか-さまざまな音の記述を甘利は探る。手がかりは図形楽譜。だが数多ある図形楽譜も理解はできるが共有できる形ではない。古典から現代音楽、実験音楽の歴史を掘り下げる。西洋の記譜法では無理か、と行き詰まった時に「発見」したのが「声明譜」。甘利は元来が視覚人間。見つけてしまえばあとは進めるのみ。楽理と楽理以外のものもグラフィック・エレメントを用いて構造化しキネテックとして表現。歴史上誰もが実現し得なかった記譜法がここにある。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚