岩切美朋

IWAKIRI Miho

復元画制作の過程の面白さ 正確さの追求とロマン

インスタレーション|木製パネル、アクリル絵具、石塑粘土、発泡スチロール、鉛筆
絵画|H2730 × W1200mm
ポスター|H600 × W1800mm、H420 × W297mm
模型|H500 × W500 × D2500mm
本|H210 × W297mm
スケッチ集|H210 × W297mm

作者より

復元画とは、現在生息していない古代の生物の生きている姿を想像して描いたものである。
復元画は科学的、学術的に正確であることが求められるという特徴がある。鼻先から尻尾まで全てに根拠があり、どれだけの正確な資料を参照したかが価値となるのだ。そして正解は誰にもわからない。復元画を描くことは、積み上げてきた知識と最新の技術を駆使して自分だけの仮説を立てるという試みなのである。
この作品は実際に復元画を描き、参考にした資料やリサーチなどの情報を羅列したものだ。どのような過程を経て復元画というメディアが生まれるのか、一歩踏み込んだ画白さを知っていただければ幸いである。

岩切美朋

担当教員より

白亜紀後期、アジア中央・モンゴルに生息した体長2mの恐竜「ヴェロキラプトル」。岩切はおよそ2年をかけてヴェロキラプトルと「付き合い」続けてきた。岩切の「ヴェロキラプトル」に対する愛情に満ち溢れた卒業制作。「ヴェロキラプトル」に関する全ての情報を収集し、いや、収集というのは似合わない。好きな「ヴェロキラプトル」のすべてを知り、みんなに紹介したい。そのために自分ができることは何か。何百枚にもおよぶスケッチとメモ。実物の鳥類の解剖、解体、骨格標本。筋肉のつき方、内臓、骨の構造。知りたいと思う気持ち、それが見るものに強く印象付ける。これは作品ではない「愛」である。「愛」こそ作品の全てである。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚