草若(西島若葉)

sojaku(NISHIJIMA Wakaba)

線刻
Senkoku

青田石、布、木、PLT、和紙、手彫り、シルクスクリーン、レーザー加工、3Dプリンター
青田石|H50 × W30 × D30mm
シルクスクリーン|H1800 × W900mm

作者より

私にとって線は一本一本絵だと思い描いている。

絵のような線と、古典篆刻のリサーチから得た篆書体の字形を、○△□という単純な図形を規格とし、自由に組み合わせる試みをした。このような試みを「線刻」と名付けた。漢字という文字には単語を表記して意味を伝達するだけでなく、造語の自由さや字面に表情や風景が感じられるなど表現の幅広さを持っている。そのことから、漢詩から感じられる風景や情景を線刻で表すことにした。絵のような印影の中に文字がどのような法則で組み合わさっているか観察し、文字と線の新しい魅力と奥深さを石の活字とともに伝えたい。

草若

担当教員より

西島さんの卒制のテーマは最初「身体性や動きから生まれる描画」だったので、当初は水墨画を研究していたのだが、そこで突然「落款」の中に「躍動」を感じた。そこからのバイタリティがすごい。悟ったように引き込まれるように篆刻の研究をして、従来の手彫りはもちろん、3Dプリンタなどの最新技術も踏まえ、そこに元々の「身体性や動き」というテーマを融合して、それを「線刻」と名づけた。故事などの歴史要素を踏まえた上で、自身のオリジナルの言葉や形状を組み合わせて、新しいものを作り上げ、それを魅力ある展示に仕上げている。そこには単純に見栄えする作品があるだけではなく、発明にも似た新しい思考や表現が内包されている。

視覚伝達デザイン学科教授 古堅真彦