日本で暮らすマルチレイシャルのライフストーリー
一TEMを用いたアイデンティティ発達過程の分析一
Life stories of multiracial people living in Japan
−Analysis of identity development process using TEM−
論文|木、パネル、布
H297 × W210mm
日本で暮らすマルチレイシャルのライフストーリー
一TEMを用いたアイデンティティ発達過程の分析一
Life stories of multiracial people living in Japan
−Analysis of identity development process using TEM−
論文|木、パネル、布
H297 × W210mm
作者より
本稿は日本では存在の語られることの少ないマルチレイシャルの人々の存在をライフストーリーを通して可視化することを目的としている。 語り手となった3名のマルチレイシャルの人々は生まれた国も育った環境も異なるものの、そのライフストーリーには共通する体験やアイデンティティ観をみることができた。 それらの語りをもとにTEMを用いた分析によって特有のアイデンティティ発達の過程を明らかにする。
くどうあや
担当教員より
くどうあやは、マルチレイシャルの当事者として問題意識を持ち、バイレイシャルとマルチレイシャルを明確に区別して扱う研究が少ないことに疑問を抱き、日本に暮らすマルチレイシャルの人々の自己認識と社会との関係構築を調査・可視化することを試みた。ここでいうマルチレイシャルとは、人種的・文化的ルーツを3つ以上持つ人を指す。
本研究では、マルチレイシャルの3名にライフストーリー・インタビューを実施し、アイデンティティの変化を分析した。その結果、語り手たちの背景は異なるものの、共通する通過点が確認された。また、ミックスルーツの人々に関する既存の説明とは異なるマルチレイシャルの人々の特徴を記述することに成功している。インタビュー対象の年齢や属性が限定的であるため、本研究だけで全体像を把握するには至らなかったが、TEMを用いた分析により重要な発見を可視化できたことは、大きな成果である。
クリエイティブイノベーション学科准教授 石川卓磨