山岸慧

YAMAGISHI Kei

新たなケア概念への組織的取り組みと意味形成プロセス
―医療施設におけるコミュニティケアの事例分析―

論文|80ページ(41,948字)

作者より

本研究は、医療施設が地域社会との連携を深める中で、「ともにケアする」新たなケアの概念がどのように表出され、意味付けられるかを明らかにすることを目的としている。SECIモデルとセンスメイキング理論を用いた分析の結果、医療的ケアとコミュニティケアが相互に作用する組織作りが、地域の健康課題に対してより包括的なアプローチを可能にし、医療施設が「ともにケアする」取り組みを拡大するための実践的な方向性を提示する知見が得られた。

山岸慧

担当教員より

超高齢社会の進展に伴い、医療や福祉の人材不足が深刻化している。近代化の中で、これらサービスが専門職や施設に依存してきた結果、市民の意識と生活そのものから「ケア」が切り離され、この課題解決に大きな隔たりを生んでいる。山岸は、終末期医療などのクリティカルな場面でコミュニティケアを行う国内の先駆的な医療機関を対象に調査・分析を行い、新たなコミュニティケアの知識創造を促進するプロセスを構築した。本研究の成果はケアに関心を持つ医療関係者が、実践の一歩目を踏み出す際に勇気を与える知見となるだろう。

クリエイティブイノベーション学科教授 丸山幸伸