シャ クトウ

XIE XUDONG

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インスタレーション|アルミ、布、プロジェクター
H10000 × W10000 × D3000mm

作者より

日常生活において、私たちは映像をスクリーンの正面から見ることに慣れており、その立体性や存在感を見落としがちである。本作品では、映像の支持体であるスクリーンを視線と平行に配置し、両サイドにスクリーンがあることで、上から降ってくる映像に完全に包み込まれた感覚になる。空間が圧縮されることで、日常的なオブジェも視覚的にそのイメージが変化する。本作では、映像を空間の一部として位置づけ、映像で空間を構成するのでなく、映像が一つの存在として空間内にある。

シャ クトウ

担当教員より

映像は存在できるのか。作者は学部時代に投影点と投影面のあいだに透明なオブジェを配した作品を制作した。透明なオブジェという存在を利用して、映像を存在させようとしていたのかもしれない。2年後の本作では、問題意識は変遷する。投影点もなければオブジェも存在しない。あるのは2つの投影面だけ。その2面によって巧妙に投影点は隠された。代わりに投影面によって空白を立ち上げた。その混交をあるフレームから覗くと、空白とともに映像が存在したかにみえた。

映像学科専任講師 山崎連基