今井さほ

IMAI Saho

アトリエの風景1

アトリエの風景2

背中を見る秋

自画像

キャンバス、油絵具
H1145 × W1120mm、H910 × W727mm、H1145 × W1120mm、H727 × W606mm

作者より

実物を見て描くことを心がけています。できるだけ対象そのものを描こうと努力する過程で、上手くいかない部分やなぜかそうなってしまう部分が画面上に表れてきます。その無意識の働きによってできたものが自分らしさと言えるのではないかと思います。

今井さほ

担当教員より

美大生の日常を静謐なタッチで丁寧に描いている。描かれているものは4年間、制作をした4号館アトリエと、そこに散在する物たち、モデル、そして自分である。絵を描く自分と見続けてきたモデル。それらが同じ壁面に並ぶ時、そこには単なる自画像、単なる習作としての裸婦像ではない、作者の過ごした濃密な時間が伝わってくる。それは何の変哲もない美術大学生の一コマだが、それを切り取り大切に描く、その感覚は決して日常的なものではない。当たり前の学生生活の周辺を緻密に観察する眼差しが、当たり前の中にこそ特別なものが在ることを見る者に気づかせてくれる。現代という複雑な時代の表現が高邁なコンセプトや高度なテクニックによって成立するものではないことを作品は伝えている。自らの生活に丁寧な視線を注ぐこと。そんな姿勢にこそ普遍的な創造の根本があることを改めて見る者に静かに強く伝えてくれる作品である。

油絵学科教授 樺山祐和