遠くの風景Far away place
インスタレーション|キャンバス、パネル、木、紙、油絵具、パステル、鉛筆、シーラー、鉄釘、タックス、ほかサイズ可変
記録として忘れてはいけないものを繰り返し描いている。その繰り返しが自分への戒めにも、救いにもなっている。 中澤龍二
作品を魅力あるものにする為には通時性と共時性が大切だろう。多くの優れた学生は時代の変化を掴み取る力を持っている。とはいえ、それを歴史の中に紐付けて客観的な視点で自身の作品を分析できる学生は稀である。中澤は現代という時代を意識しながらも、近代日本の絵画史の中に新たな可能性を垣間みようとしている。例えれば昭和初期に活躍した須田国太郎や松本竣介の作品と彼の作品は親和性を持つ。中澤自身、絵肌の作り方などは松本竣介を参照にしていると語る。とは言え彼の描き方は松本竣介よりも、よりラディカルである。その描き方は絵の具の層を重ねて描く重層構造ではなく、パネルや無垢板などを支持体とし、そこに釘やナイフで傷つけ描画することで染み込ませる含浸構造である。それにより一見頼りない描画や、薄塗りの絵の具は支持体の物質性を強調し、弱さと強さといったアンビバレントな表情を作品に与えている。 油絵学科教授 丸山直文
作者より
記録として忘れてはいけないものを繰り返し描いている。その繰り返しが自分への戒めにも、救いにもなっている。
中澤龍二
担当教員より
作品を魅力あるものにする為には通時性と共時性が大切だろう。多くの優れた学生は時代の変化を掴み取る力を持っている。とはいえ、それを歴史の中に紐付けて客観的な視点で自身の作品を分析できる学生は稀である。中澤は現代という時代を意識しながらも、近代日本の絵画史の中に新たな可能性を垣間みようとしている。例えれば昭和初期に活躍した須田国太郎や松本竣介の作品と彼の作品は親和性を持つ。中澤自身、絵肌の作り方などは松本竣介を参照にしていると語る。とは言え彼の描き方は松本竣介よりも、よりラディカルである。その描き方は絵の具の層を重ねて描く重層構造ではなく、パネルや無垢板などを支持体とし、そこに釘やナイフで傷つけ描画することで染み込ませる含浸構造である。それにより一見頼りない描画や、薄塗りの絵の具は支持体の物質性を強調し、弱さと強さといったアンビバレントな表情を作品に与えている。
油絵学科教授 丸山直文