水野遥介

MIZUNO Yosuke

boundary

泳ぎつづける夢
The Ever-Swimming Dream

untitled

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キャンバス、油絵具
H2590 × W1940mm、H1620 × W2273mm、H530 × W455mm、H455 × W380mm

作者より

主に人物や、人物を含む空間を手掛かりに制作しています。卒業制作を通して考えていたことは、「boundary(自他境界)」についてです。人間は自分と他者、自分と環境が分離せず、常に交わり影響し合っています。そのため、「私」という存在を他者や環境との関係の中でしか成立しないものとして捉え直し、絵画空間は、アトリエやアパート、過去に描いたモチーフなど、様々な断片をコラージュしていくように作っています。

水野遥介

担当教員より

美術系大学では、入試時に要求されたはずのアカデミックな描写は、多くの学生たちは今日的な表現を検討する中で、通過儀礼のようにあっさりと放棄していく。そのような風潮の中で、水野は培ってきたクラシックな描画技術を駆使した絵画を、同時代に通用するものに昇華するべくストイックに修練を続けてきた。このような志向性を示す若手ペインターは、じつはカウンターとして常に潜在し続けるのかもしれない。
本作で彼は、より筆触にダイナミックな強度を与えるべく、ドンゴロスという、極めて目の荒い穀物梱包用の麻布を支持体に採用している。それはかなりのスピードで描き進められる利点がある反面、デッサン力と即興的なセンスを要求されるが、卒業制作にふさわしい大画面をものにし、その力強さが評価を集めた。

油絵学科教授 諏訪敦