武藤康司

MUTO Yasushi

追憶
Reminiscence

静寂(しじま)
Silence

キャンバス、水性アルキド樹脂絵具、油絵具
H1120 × W1620mm
H1120 × W1620mm

作者より

「追憶」
子供の頃に慣れ親しんだ街を懐かしく思い出す。それは場所であり、人であり、出来事であり、強い印象を呼び起こす。そうした記憶を辿り、描いてみたいと思った。赴くままにイメージを拾い上げ、画面に組み込んで視覚化いていく。描く課程での呻吟があり、どのように描くかを考え、難しさがあったが、道中に得るものは大きく、絵を描く喜びに満ちていた。
「静寂(しじま)」
立派な庭と茶室を持つ知人に案内され茶室への門をくぐると左手に3つの石を配した庭が目にとまった。3つの石はアーチ上に配置されるところ、左の石のみ意図的に外して(崩す)ヤツデの前に置かれている。これが「侘びさび」であり、禅の美意識だと彼の解説を聞いて、その場でこの庭を描きたいと思った。茶室という非日常へと誘う茶庭の精神性に強く惹かれたのである。

武藤康司

担当教員より

中央に新幹線と自画像が配置されたこの作品は、周囲に様々なイメージがコラージュの様に構成されているのが特徴である。
作者の幼い頃の経験、失われた文化や遊びなど、懐かしい日本の昭和時代がタイムカプセルの様に詰め込まれ、ノスタルジックに表現されている。
少しずつ歪さを感じる遠近法の中に新幹線と自画像を正面から描くことで、空間を平面的に捉え、バラバラになりそうなシーンを独特な絵画空間として成立させている。

造形学部 通信教育課程 教授 関口雅文