目黒陽奈子

MEGURO Hinako

感情の化学
Science of emotion

本|H230 × W230mm
パネル|H515 × W728mm

作者より

海外セレブのリッチな暮らしをYouTubeで観るのは好きなのに、同級生の華やかなSNSには嫌悪感を覚える。根底にはうらやましい気持ちが共通するが、この違いは何なのか。
長年の片想いは気づけば執着となり、相手が応えてくれなければすっかり嫌悪の対象としてしまう。かつての愛情は正反対の感情にすり替わってしまったのか。
感情は複雑かつ曖昧で、構成要素が少し変わるだけで正にも負にも傾く。その実態を自身で正確に捉えることは難しく、他者に対して伝えることは尚更難しい。
本展示は心理学者のロバート・プルチックが人間の感情を体系的に整理した「感情の輪」モデルを基にしており、感情が複雑化⇔単純化する様を物質の化学変化に見立てることで感情と物理的かつ客観的に向き合うことを目指した。
本来は概念的で主観的な感情を距離をとって見つめる体験を楽しんでいただきたい。

目黒陽奈子

担当教員より

人間の感情は複雑だ。好きだったものがふとしたきっかけで憎しみの対象に変わることもある。自分自身の感情の動きを理解できないことも決して少なくない。作者はロバート・プルチックの感情の輪を基に、あたかも科学実験で化合物を分解するように、人の複雑な感情を分解し、ビジュアルとして再構築した。本作を通じて、私たちは自らの感情の揺れ動く仕組みを理解し、感情の持つ奥深さに触れることができるだろう。このユニークな試みを高く評価した。

造形学部 通信教育課程 教授 福井政弘