梶川裕太郎

Kajikawa Yutaro

21世紀のプロパガンダポスター
Propaganda poster of the 21st century

ポスター|紙|インクジェットプリント
Poster | Paper | Ink jet printing
H1030 × W728mm ×12点 H515 × W364mm ×30点

作者より

第一次世界大戦期に登場したプロパガンダポスターは、非商業ポスターとして人々に行動の変化を促し、社会全体を変えてしまうメディアとして大きな影響力を残した。
私は今回の卒業制作で、これらのプロパガンダ独特の皮肉・風刺的表現を集約し、「防犯」「経済」「政治」「環境」「マナー」「インターネット」の6つの分野の社会問題から構成された42枚の現代版プロパガンダポスターを制作した。
社会の仕組みが大きく変化する中、それでもなおポスター芸術の系譜は現代に至るまで脈々と受け継がれている。この作品は、その一端を担う21世紀のプロパガンダポスターとして体感できるのではないだろうか。

梶川裕太郎

担当教員より

第一次大戦期のポスター表現の記号操作をトレースしながら徐々に梶川君独自の表現にたどり着いている。卒業制作として制作した50点余の作品の背後には梶川君自身が学んできた20世紀のプロパガンダのポスター群があるが、満員電車を床下から見上げたマナーポスターはそれらの表現から抜け出している。この視線の移動は魅力的だ。テーマを語りながら作者のポスター表現を支える視覚言語のシンタックスが見えてくる。もともと情報を集約し象徴的に表現することに優れた造形力を有しているだけに納得のいく視線の移動だ。

視覚伝達デザイン学科教授 新島実