矢嶋瑛美

Yajima Emi

営むモノたち
traces of a daily life

本|紙、アクリルガッシュ
Book | Paper, acrylic gouache
H210 × W210mm

ドローイング|紙、アクリルガッシュ
Drawing | Paper, acrylic gouache
H182 × W257mm ×150点

作者より

私は上京してから大学までの6年間のうちに、何度か生活環境が変わることがあり、3度引越しをしました。引越しの度に思い入れのあるモノたちを断捨離しては、新しいモノを購入し、またもとのモノで溢れた部屋に戻ることを繰り返して、生活とモノとの関係について考えるようになりました。そうした経験をきっかけにして、日々の生活の中で使用・消耗・鑑賞されるモノたちに焦点をあて、そのモノたちと関わるシーンで感じたこと・考えたことを絵と言葉を組み合わせて表現した詩画集を制作し、生活の中の人の営みを描きました。

矢嶋瑛美

担当教員より

大学への入学を機に故郷を離れ、東京で彼女は一人暮らしを始めた。
そのことは多くの人が経験することで特別なことではない。彼女はその日常の生活の痕跡、モノたちに視線を向ける。特別にそれらを美しく感傷的に見せたいわけではなく、おそらく彼女の目が反応したものがここでは淡々と描かれている。構図はほとんど考えていない。あるいはそのような美的意図を排除しているようにも見える。私たちは彼女の絵(またはそこに向けられた独特の眼差し)に不思議な魅力を感じる。例えば枕についた涎のシミや蛇口から流れ出る水という日常の光景に。短い言葉が添えられた画集の編集も素晴らしい。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策