竹田周平

Takeda Shuhei

江戸腐爛の華
十九世紀江戸・怪奇幻想総覧
Rotten flowers of Edo in the 19th century

年表
Chronology
H1800 × W2700mm


Book
H297 × W210mm ×3点

作者より

妖怪、怨霊、妖術師。拷問される美女、醜い腐乱死体、飛び散る血しぶき、生首……。
時は十九世紀江戸。「化政文化」と呼ばれる非常に優れた文化が花開いた。
それは同時に強烈な腐敗臭を放つ、美しくも妖しい時代だった。化政期は日本の歴史上、最も怪奇や血みどろを好んだ時代なのだ。
この度の制作では、その化政期を中心に、約一〇〇年間に及ぶ江戸の怪奇的で幻想的なものを集大成した。
高い芸術性に彩られた怪奇と頽廃の表現、奔放な想像力の精華をここに示したつもりである。この時期の特異な雰囲気をぜひ堪能して驚愕してほしい。

竹田周平

担当教員より

江戸の思想家平田篤胤によって書かれた不思議な書物「仙境異聞」を現代語に翻訳することが竹田君の関心の始まりであった。彼はその過程で篤胤自身が生きた江戸末期から明治維新に至るほぼ百年の時代の文化現象全体をとらえる必要を感じ、その時代の出版物を徹底的に集め、それらを丁寧に読み解き時間軸上に布置する作業を行なった。そこで浮かび上がったのは怪奇と美が共存し、今日から見ても驚くべき想像力にあふれた日本独自の幻想世界であった。彼は総覧年表を制作し更にそれらを「怪奇・幻想の始まり/発展期/衰退期」という三つの視点から編集・執筆し三冊の本にまとめた。その知性と編集デザイン力には驚くべきものがあった。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策