石橋伊織

ISHIBASHI Iori

記録 2020 Ⅰ

記録 2020 Ⅱ

キャンバス、油絵具、アルキド樹脂絵具
H1620 × W1120mm
H1620 × W1120mm

作者より

日常のなかにある、確かに存在しているけれど言葉にできないもの、写真や映像には映らないものを描き残したいという思いで卒業制作に取り組みました。
制作を通して、この世のすべての物事や事象は互いに作用しあい、補完しあって存在していること、そして自分もその一部として同じ時間を共有していることを実感し、世界の見え方が少し変わったような気がしています。

石橋伊織

担当教員より

画面の隅々まで緻密に描き込まれ、強い存在感と深いリアリティのある作品となった。裏路地の狭い空間に入り込む光の反射を丁寧に描くことで、この場所が持つ空気感や湿度まで見事に表現している。錆びた鉄階段や薄汚れた壁などにも愛情の眼差しが向けられ、人が描かれていないにもかかわらず、生活の気配まで感じられる。画面表層の魅力だけでなく、そこから滲み出てくる作者の思いが伝わり、いつまでも見ていたくなるような作品である。

通信教育課程 油絵学科教授 三浦明範