吉田弥桜

YOSHIDA Mio

daily

インスタレーション|ガラス|キルンワーク
Installation art | Glass | Kiln working
H1800 × W2000 × D60mm

作者より

風景を切り取るように佇む窓。
自身が日常風景から感じ取った感情を、柄や文章で日記のように記した。
本作は、冬の朝、自身が冷たい空気にくるまれていく日々を記している。
雨風に耐え、過ごしてきた痕跡がガラスに残っているかのようなテクスチャーを施し、あたたかく・どこか懐かしい風合いのある作品に仕上げた。

吉田弥桜

担当教員より

「窓」とは1枚の板ガラスを境に、光や外気を取り入れたり、外の景色を楽しむために作られたものである。ガラスを通しての「光」や窓を開けて入れる「風」、外の「風景」が主体であり窓自体が主体としての存在を表すことは少ない。作者は逆に「窓」を主体として自らの感情を写し込むことを試みた。
この作品は作者自身が日常風景から感じ取った「思い」を形や文字に置き換えて、日記を記すように窓ガラスに描いていった。技法的には石膏に柄や文章を写し、板ガラスを上に置きさらに石膏を置いて挟み込むようにして焼成している。ここから生まれる石膏のガラスに写る肌合いや温度むらによる変化が、作者が意図する「冬の朝の冷たい空気に包まれていく日々」を具現化し、風雨に耐え過ごしてきた痕跡を残している。
冬の冷たい空気感の中に、どこか暖かく懐かしい思いが作者の「心の風景」として伝わってくる。

工芸工業デザイン学科教授 大村俊二