渡邊悠加

WATANABE Yuka

Focus

ポリエステル|熱加工
Polyester | Thermal processing
H4000 × W4500 × D70mm

作者より

あらゆる情報や物事を難なく手に入れることができる時代で、意図せず時間を浪費してしまったり、溢れかえる情報量に疲れてしまうことがある。
他人との距離や自分のいる空間を強く意識したこの一年、疲労感に呑み込まれ、安らぎや安心感を遠く感じた。
日々過ぎていく時間の中で、人やモノだけでなく空間・建物を隔てる膜を作り、簡略化した景色を生み出す方法を模索した。
視覚的な情報量を減らすことで見る者を癒し整え、時間を忘れていく心地よさを、風や光・ありふれた日常、心静かな瞬間を楽しむことを大切にしていきたい。

渡邊悠加

担当教員より

テキスタイルを自由に捉え、その可能性を探り、建築と布の関係性を追求した結果が新鮮な佇まいの作品を生み出した。マテリアル研究への熱心さや制作過程における丁寧な作業も評価に価する。一見無機質であるが、作品を取り巻く空気の流れに応じて有機的に動く様が印象的。風に揺らぎ、空間までをも作品として取り込む存在感は、デザインやアートへの関心や造詣の深さにかかわらず、また世代を問わず誰をも魅了する力を持っている。完成度も高く、更なる展開の可能性も感じさせるとして、高い評価を得た作品である。

工芸工業デザイン学科客員教授 高橋理子