平田円理

HIRATA Madori

yadorigi st.

プレゼンテーション|スチレンボード、バルサ、紙、PVC樹脂、水、小石、ほか
模型|H300 × W720 × D680mm

作者より

橋の下に集落があったらどんなに面白いだろうか。そんな妄想から今作品は始まった。
明石海峡大橋の中、新幹線が通るはずだった空間に一つの街をつくる。
地面に根を張らず他の樹木に寄生しながら生きる「宿り木」をコンセプトに掲げ、橋のトラス構造を宿主として、橋に建築が寄生し増殖していくイメージを持たせた。
今は高速道路のみで、ただ通り過ぎることしかできないこの橋をヒューマンスケールで繋ぎ、新たな景色を生み出したい。

平田円理

担当教員より

“ヤドリギ/寄生木” とは地面に根を張らない寄生植物らしい。
平田は、一見ネガティブなこの“寄生”と言う概念を作品のテーマに定めた。

1998年に開通した明石海峡大橋の開発当時の数奇なコンテクストに着目し、新たな用途の施設の提案、そしてその環境の特徴を活かした大胆なデザインの計画である。

ファンタジーとしての印象を受けるこの作品であるが、実はその逆で、高度経済成長以降この日本が建築/土木 によって開発し続けた“バグ”ともとれる負の遺産を“ポジティブなパラサイト”によって、有益な資源に変換させる可能性を未来に提案している。

空間演出デザイン学科教授 片山正通