飽きない形/飽きない線
Shapes that don’t get boring/Lines that don’t get boring
絵|ケント紙、アクリル絵具
H140 × W140mm、H600 × W600mm、H800 × W800mm、H1000 × W1000mm、H1200 × W1200mm、H1600 × W1600mm、H2000 × W2000mm
立体|ビニール紐
H20 × W20mm、H40 × W40mm、H50 × W50mm、H70 × W70mm、H80 × W80mm、H100 × W100mm、H120 × W120mm、H150 × W150mm、H200 × W200mm、H250 × W250mm
作者より
かぎ編みで円を編む時のルールにフィボナッチ数列の要素を応用させた。円はたちまち平面に収まりきらなくなりうねりはじめた。編むという繰り返しの行為と単純な規則の繰り返しが生む形と線。次の一周を編み終わる時にはどんな形になるのか、この形は私を退屈にさせない。編めば編むほど私はぐるぐると深い集中に入り、飽きない形はうねうねと姿を変えていく。編み物を編む時の集中を視覚化したような形だ。
井上あかり
担当教員より
編む。同じ行為の繰り返しから生まれる形には、編む時の意識の変性と造形の原理がリアルタイムに現れてくると作者は言う。本作では繰り返しという本能的な行為と、編むという原初的な創作の中に豊かなデザインの源があることを見事に示してくれた。
本作の様にフィボナッチ数列を編み物に取り入れた例はすでに存在している。しかし、継続的なスタディを通して数理的な規則を編み方に適応できることに気がつき、さらに自らの手で編み続けることで生まれた思考と素材の展開は、作者自身のものづくりと言える。
編むという人の営みに密接した行為から、造形と身体への問いを導き出し、そのプロセスを自らのデザインに昇華させた作品である。
視覚伝達デザイン学科教授 石塚英樹