工藤俊祐

KUDO Shunsuke

日本語のリズムとタイポグラフィ
Exploring rhythm in Japanese writing system and typography

プレゼンテーション|紙、ディスプレイ
本|H390 × W210mm
映像|60秒

作者より

己の美の基準である「リズム」の正体は何か。解説本とウェブアプリケーションを通じ、日本語の表記体系に宿るリズムの正体、そして日本語タイポグラフィへの結節点を探った。様々な領域からリズムに関するリサーチを行い、140ページの解説本、筆記用具による線のリズムを視覚化するための記譜法「ライティングノーテーション」、現代における日本語表記の中のリズムを「斑」に見出し、組版における文字の濃度を視覚化するアプリケーション「表記リズムビジュアライザー」を制作した。

工藤俊祐

担当教員より

戦後の日本のグラフィックデザインは、西洋のデザインに羨望の眼差しを向け摂取するという歴史を背景に進展してきた。とりわけ前世紀までの書体制作は、ラテンフォントのようであれと、均質な組版のグレートーンをただひたすらに求めてきた。工藤の詳細な調査・体験・分析(日本の風土と日本人の生活、慣習、心象風景、身体性および視・聴・嗅・味・触覚に基づくリズム)と先進的なデジタル技術における具体的検証は、日本語組版における歪な濃淡こそが組版の本質であるとしたこれまでの感覚的な論を、「リズム」と仮定し、それを論理と科学で実証したものである。漢字・両がな、数字を交えて記される記述システムの意味を求めた根源的探求の成果がここにある。組版・造本の素晴らしさは言うまでもない。

視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚