近江谷記子

OUMIYA Kiko

ふるさとの記憶
Memories of My Hometown

映像|モニター、スピーカー
3分46秒
本|紙
H147 × W203mm、H147 × W203mm

作者より

私の幼少期はいつでもふるさとの自然に包まれていた。夏は鮮やかな色彩が印象深く、冬の雪景色はどこまでも白く静かに私を包み込んだ。あの場所にある全てが私をあたたかく迎え入れてくれた。
私はそんな、記憶の中の断片的なイメージをアニメーションとして形にし、残すことに意味があると考えた。過去の感情や、家族との思い出は、美しい風景のイメージと繋がって私の中に記憶されていた。私はこれからも、ふるさとの記憶に想いを馳せる。

近江谷記子

担当教員より

作者は幼い頃の日記や写真から記憶の断片を集め、幼い頃に過ごした北海道の思い出を元に物語を紡ぎ出した。美しい自然と季節の中で、あるときは家族と、そして時として一人で過ごした美しく静謐な記憶を映像で蘇らせている。明確なストーリーではなく、イメージの連鎖を通して私たちは彼女の描く世界と、自分の記憶を想起させながら共感する。画面構図における視線の「寄り・引き」が見事で、美しい大地の遠近と自然の移ろい、作者と家族との温かな心情が巧みに重ね合わされた詩的な作品となった。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策