日本の美意識と造形性 –紋切形–
Japanese Beauty & Form –MONKIRIGATA–+AO28
インスタレーション|紙、クロス、紐
切り紙|H100 × W100mm(134点)
本|H297 × W210mm(332ページ)
小冊子|H148 × W105mm(5点、44ページ、28ページ、30ページ、32ページ、30ページ)
タペストリー|H1000 × W600mm(5点)
日本の美意識と造形性 –紋切形–
Japanese Beauty & Form –MONKIRIGATA–+AO28
インスタレーション|紙、クロス、紐
切り紙|H100 × W100mm(134点)
本|H297 × W210mm(332ページ)
小冊子|H148 × W105mm(5点、44ページ、28ページ、30ページ、32ページ、30ページ)
タペストリー|H1000 × W600mm(5点)
作者より
日本の造形には「枠」と「余白」がある。梅の花は五枚の丸い花弁で抽象的に表現され、見る者の梅の記憶を喚起する。「枠」というルールに落とし込むことで「余白」という語られない部分を作ることが日本の美意識なのだ。
「紋切形」とは着物に紋を描く際に使われる型紙のことである。1845年に出版された『所職必要 紋切形』に掲載された図案を再現し、それを踏まえてオリジナルの紋切形を制作した。紋切形という「枠」を使って日々感じている季節の移ろいを表現することは、私が積み重ねてきた造形と先人たちが積み重ねてきた造形の再構成である。
矢島美雨
担当教員より
中国には古来より民間芸術として発展した芸術的切り紙「剪紙」の伝統があり、我が国では「紋切形」なる伝統が江戸期より存在する。紋切形は着物に紋を描き入れる際に使用する型紙で、一枚の紙を折り、切り、開くことによって現れ出でるシンメトリカルな形状で、剪紙が芸術性を重んじ有機的造形なのに対して「紋切形」は、切り詰められた象徴性(記号性)を持つ日本的抽象そのものと言っていい。矢島は「装飾」の意味を追い求め、結果として「紋切形」に行き着いた。それまでに至る学習と作品の成果は1冊の書物に見事に纏められたが、矢島の作品の重要性は、歴史の検証・追試にとどまらず、従来の「紋切形」(型通り)でないオリジナルの「紋切形」を立体として創出した点にある。
視覚伝達デザイン学科教授 白井敬尚