中釜はるひ

作者より

私はジンベエザメが大好きです。
思い起こせば14年前、小学2年生だった私は、帰省中に訪れた鹿児島の水族館でジンベエザメに邂逅、一目惚れをしました。推定4.5mの巨体を器用にくねらせ、悠々と泳ぐ姿に圧倒された、衝撃と感動の記憶は薄れることなく現在に至ります。

今回、ジンベエザメの圧倒的な存在感の再現、そして、その衝撃と感動を追体験してもらうべく、私が一目惚れしたジンベエザメ「5代目ユウユウ」がモデルの等身大レリーフを制作しました。
また、彼らのユニークな生態にも着目。同時制作した図解本では「ジンベエザメは、〇〇である」をキャッチフレーズに、泳ぎ方や捕食の方法、謎の多い稚魚たち、人間との歴史など、ジンベエザメに関するあらゆる事柄を掲載しています。
本作品を通して、彼らの大きさや造形の美しさ、面白さ、可愛らしさ、格好良さ、不思議さといった様々な魅力を感じてもらえたら幸いです。

中釜はるひ

担当教員より

幼少期に水族館で見て以来、ジンベエザメに魅了され続けてきた作者は、その魅力を探るためにさまざまなリサーチを重ねてきた。先端的な研究においても未だ解明しきれていない事実が多く残されていることや驚くべき生態機能があること、ジンベエザメと人間、社会との関わりに至るまで、作者自身が知らなかった事実への感動を子供から大人まで楽しく学べる一冊の図鑑に編集し統合する。さらに、原体験となるジンベエザメのスケールへの感動を再現すべく、原寸4.5mのレリーフを完成させる。自身の感動の根源を辿り、その素晴らしさを伝えるために様々な工夫が凝らされた本作は、強い動機によって多くの人々の共感を得るデザインプロセスの原理が明確に現れている。

視覚伝達デザイン学科教授　中野豪雄