小山洋子

KOYAMA Yoko

石は流れ、木の葉は沈む I|石は流れ、木の葉は沈む II
Little stones flow, but leaves sink. I | Little stones flow, but leaves sink. II

キャンバス、アクリルインク、水干絵具、岩絵具、顔料、ドーサ
H1620 × W1620mm、H1620 × W1120mm

作者より

綿布へ絵具を垂らす。その度に思いがけない滲み。ままならぬもどかしさ。水底で絵を描こうと、もがいた痕跡。モチーフは姨捨山の棚田から見下ろした千曲川や善光寺平の光、水、大気。表題は1年前にカーラジオで聞いた東北の古民謡の一節から。歌詞の捉えどころのない不安定さが、描くためのリズムになり、道標となった。コロナ禍に沈む全ての人の心の痛みへ、恢復への祈りを込めて。

小山洋子

担当教員より

画題とした「石は流れ、木の葉は沈む」はその様子や状態が時を経て少しずつ変化することを示している。現れた作品の表情は作者がどの様に時間と過ごし、何を見たかったかの結果である。垂らし込んだ絵具の行方を辛抱強く待ち、次の方向を決定する。画面から伝わる色彩の豊穣や静けさを伴う広がりは、継続した観察の中から徐々に姿を現したのだ。自身が働きかける行為からあるがままを受け入れることで最大限の美を引き出した。

造形学部 通信教育課程 教授 吉川民仁