佐伯翠

作者より

文学には《レトリック》というものがあります。少し変わった言葉使いや、逆の言葉や比喩を使ってモノやコトの解像度を上げたり強い説得力を持たせる技法です。これを視覚表現に置き換えると、現実空間の再現を逸脱する表現で作られるメッセージと言え、それは広告作品に多く見られます。そこで、文学のレトリックの構造に広告のビジュアルを当てはめることで、49の作品を分類・分析し、その構造を図化し文章とともに本にまとめました。

佐伯翠

担当教員より

広告はアナロジーの宝庫である。瞬時に理解できる表現であると同時に、知性や斬新さを伴って初めてメッセージを共有することができる。ヴィジュアルコミュニケーションを標榜する学科の研究テーマとしてはまさに王道と言えるだろう。佐伯は、デザインを学んだからこそわかる広告のレトリック（修辞学）を、多くの作品を例示しながら分析し書籍にした。ブックデザインだけが評価の対象ではなく、何よりもテーマ設定の揺るぎのなさが高く評価されたのだと思う。

造形学部 通信教育課程 教授　白尾隆太郎