田中一村 没後の展覧会に見る画家像の変遷 ―「異端の画家」が再評価されるまで―Transition of Tanaka Isson’s images seen in his posthumous exhibition論文|50ページ(33,706字)
本論文は、日本画家・田中一村の没後から現在に至る約40年の展覧会史をたどり、画家像の変遷を考察するものである。一村は初期の展覧会では「異端の画家」と紹介されたが、徐々に、伝統を踏まえて独自の画業を成就した画家である、と再評価されるようになった。画家像変遷の背景として、一村の展覧会主導者がメディアから美術館に変わり、焦点が人物から作品に移ったこと、また、美術史の中で「異端」の扱いの変化があったことを明らかにした。 稲井田有希
「孤高の画家」とも呼ばれる田中一村(1908-77)の展覧会を題材に、作家像の形成と変容を明らかにした独自性の高い研究。没後から近年までの展覧会が開催形態や企画趣旨をもとに3つの時期に区分され、一村の認知が展覧会と結びついて形成されてきたことが分かる。一村とその作品に対する捉え方の把握は具体的で説得力に富み、美術史記述の枠組みの外側に置かれていた存在がその内側へと編入されていく過程を読み取ることができる。 造形学部 通信教育課程 教授 金子伸二
作者より
本論文は、日本画家・田中一村の没後から現在に至る約40年の展覧会史をたどり、画家像の変遷を考察するものである。一村は初期の展覧会では「異端の画家」と紹介されたが、徐々に、伝統を踏まえて独自の画業を成就した画家である、と再評価されるようになった。画家像変遷の背景として、一村の展覧会主導者がメディアから美術館に変わり、焦点が人物から作品に移ったこと、また、美術史の中で「異端」の扱いの変化があったことを明らかにした。
稲井田有希
担当教員より
「孤高の画家」とも呼ばれる田中一村(1908-77)の展覧会を題材に、作家像の形成と変容を明らかにした独自性の高い研究。没後から近年までの展覧会が開催形態や企画趣旨をもとに3つの時期に区分され、一村の認知が展覧会と結びついて形成されてきたことが分かる。一村とその作品に対する捉え方の把握は具体的で説得力に富み、美術史記述の枠組みの外側に置かれていた存在がその内側へと編入されていく過程を読み取ることができる。
造形学部 通信教育課程 教授 金子伸二