東海林希

作者より

白いマスク　外すか外さないか
黒い巨波　描くか描くまいか

普遍の笑顔　止まない紛争
人はいつから、なぜ、こんな風になるんだろう
思い倦ねて自由の鳥居をくぐった

奇跡も理不尽も全て仮面のせいにして
奇妙な子らと呼吸を取り戻すんだ

東海林希

担当教員より

東海林さんの絵画には現代が抱える問題が比喩的に表現されている。「安らぎや平穏」「暴力や不安」といったテーマを変身した子供らに居場所を与え、画面の中でこれらの役を演じさせ表現している。スピーディーな動きやダイナミックな構成を感じさせるのは造形的な組み立てを意識しているからである。有機的な動きと幾何学的な構成は表裏一体となり画面に躍動感を生んでいる。それぞれのモチーフは繰り返しドローイングする中から生まれてきたものであり、それらが明確な物語を形作っている。何ものかを表現したい気持ちは体力と気力を振り絞った末に何事かを表している。

造形学部 通信教育課程 教授　吉川民仁