鳥取県による県立美術館の整備と《ブリロ・ボックス》購入騒動に関する一考察
―報道が創る地域社会の現実と、外部環境に左右される美術館整備の意義について―
A Study on the Establishment of a Prefectural Art Museum by Tottori Prefecture and the Controversy Surrounding the Purchase of ”Brillo Box”
論文｜68ページ（20,369字）
太田耕平
OTA Kohei
作者より
本研究は、2025年度に開館予定の鳥取県立美術館の整備に関する地域社会の動向から、公立美術館や現代アートについて考察するものである。具体的には、鳥取県教育委員会による«ブリロ・ボックス»5作品の購入を巡るプロセスやこれまでの美術館整備の動向を中心に調べ、鳥取県民が新しい美術館に期待することや、現代アートが地域社会においてどのように認知されているかを分析した。
太田耕平
担当教員より
2025年3月開館予定の鳥取県立美術館整備を題材に、地方公立美術館の成り立ちとその意味を考察した研究。一連の出来事が俯瞰的に捉えられ、県の政策や県民意識と美術館設置との関係、作品収集の経緯が丁寧に把握されている。県議会やメディア等の反応も詳細に読解され、作品購入をめぐる状況が分析されている。地域の内部と外部の相互作用の中で形成される今日の美術館像や私たちの意識を捉えた、示唆に富む論考である。
造形学部 通信教育課程 教授 金子伸二