清水伸一

SHIMIZU Shinichi

集う
TSUDOU

舞う
MAU

土佐麻紙、水干絵具、岩絵具
H1455 × W1120mm、H1455 × W1120mm

作者より

この作品のモチーフは岐阜山中の根道神社に隣接する名もなき池(通称:モネの池)です。
湧き水のため透明度が高く、雨天の翌日であっても水がとても綺麗だったのが印象的です。
この景色を絵に落とし込もうとして、水彩でスケッチを試みるも、実際の景色からかけ離れた絵になってしまいました。本紙に描く際には一旦、色の先入観を捨て、見えたものではなく、感じたものを色で表現し、そこに悠々と泳いでいる鯉の姿を描くことに努めました。

清水伸一

担当教員より

奇を衒うことなく、世の現象を眺め、形を拾い、色をさす。
この淡々とした行為がこれほどまで心の安寧を呼ぶものかと、絵の根源を再認識させられた心地になる。
しかしこの心地よさは、実に周到に練られ配置されたフォーメーションに支えられていることを見過ごしてはならない。マイルドな味わいに潜んだ堅実さがこの作品を根底から支えているのだ。
物事を俯瞰して見ることができる客観性の成せる技、そこに作者自身の辿ってきた道程が垣間見えるのではなかろうか。

造形学部 通信教育課程 教授 室井佳世