逢坂彩

作者より

寄生は、いまだ謎が多い生存戦略システムのひとつである。共生という手段を選択しつつ、既存の形状や構造に自らを適応させながら姿かたちを変えてきた。寄生生物たちのミニマムで残酷な生態は、間違いなく生物学的進化の結果なのである。
規格化され見慣れてしまったプロダクトに、寄生のシステムを応用させて新たな機能と価値を付加した家具シリーズを提案する。寄生する家具とそのシステムは、新たなデザインの姿なのである。

逢坂彩

担当教員より

逢坂彩によるシリーズ作品「寄生する家具」は、大量生産されたプロダクトに寄生し、新たな機能と価値を付加するという独創的なアプローチが特徴である。寄生生物が既存の形状や構造に適応しながら進化する特性をデザインに取り入れ、8点の家具にユニークな表情と機能を与えている。寄生生物の丁寧なリサーチをバイオミミクリーの視点で解釈した本作は、現代の家具デザインやプロダクトデザインへの批評性を高い次元で体現している。

空間演出デザイン学科准教授　安藤北斗