川嶋三郎

KAWASHIMA Saburo

水の造形

水の変容

雲肌麻紙、墨、水干絵具、岩絵具
H1648 × W1331mm
H1331 × W1648mm

作者より

秋田県田沢湖、冬の朝、湖面に立ち込めた朝霧は陽が昇るとともに上昇を始めます。すると、雪に覆われた山肌が現れてきました。柔らかな朝の陽ざしの中で、朝霧と山肌の雪が渾然一体となった白く輝く光景に美しさを感じました。
制作では、タイトルに示すように、水が雪に、湖水に、朝霧にと三様に姿を変えて水だけで作り出した世界を描くことにしました。そして、白が基調の冬の冷たさの中にも明るさが感じられる絵を目指しました。

川嶋三郎

担当教員より

この作品は見た対象物を本人が何を主に感じたかを端的に描き現している作品といえる。本来、人の目には様々なものが見えているはずだが、その場にある美しさはその人が感じたものが脳に刺激され、心に響く感動になっている。それを現すために必要のないものは排除する描き方が形の処理の仕方や色の出し方とマッチして鑑賞する側に分かりやすく伝わるものになっている。それが明快に出されたことが評価された作品といえる。

造形学部 通信教育課程 油絵学科教授(日本画コース) 重政啓治