ふじ かおる(兵藤郁)

Fuji kaoru(HYODO Iku)

ぼんやり眺める
Gazing into the Distance

インスタレーション|PC、プロジェクター、マイクロコンピュータ、パネル
サイズ可変

作者より

気付いたらぼんやりしていて、ふと我に返る。

日常風景を「ぼんやり眺める」仕掛けを作った。ある風景を眺めていた時、日常のことを忘れ、心地良さを感じたことが研究の出発点だった。
試作と実験を通して、「遠くにあるように感じられる」ことが「ぼんやり眺める」状態を作ることが分かった。
対象の速度、明度、粒度を変え、「遠くにあるように感じられる」状態を作り、さらに調整を加えて、視覚的に具体的な意味を認識しない状態を作り出すと、心地良さを引き起こす可能性が示唆された。

ふじ かおる(兵藤郁)

担当教員より

本作を見てみると多数の矩形がゆっくりと濃淡を変えて動いていることに気がつくが、やがてそれらを目で追うことに意味が無いと知り、焦点をあわせることを怠りはじめる。そうして時々現れる「なんとなく全体を眺める」状態、これが本作が目指した「ぼんやり」だ。
作者によると「ぼんやり」は心地よい状態を構成するひとつの要素だと言う。仮説として設定し、それを実験的につくりだしたプロセスが興味深い作品となった。

造形学部 通信教育課程 教授 荻原剛