隣の住民neighbour
インスタレーション|ダンボール、紙粘土、鹿毛皮、フェイクファー、岩絵具、水干絵具H650 × W1900 × D1350mm
実際に狩猟された9匹の鹿の毛皮を利用した作品である。 近年野生動物の増加により農業や山が多大なダメージを受けており国から駆除が勧められているが、そのうち肉として利用されるのは1割程度であり、その他の部位は殆どは破棄されてしまう。その破棄予定であった生皮を猟師さんから頂き、自身で鞣した。 この作品を通じて環境問題への理解が深まらずとも、まずはほんの身近に、すぐ隣に野生動物が存在しているという事を知ってほしいと感じる。 獅子野あんころ
獅子野あんころが作る立体作品は、造形物ではあるものの、作者の学部時代からの強い民俗的な信仰心によって支えられており、日本画における膠や筆になる天然の動物素材そのものを直接猟師から取り寄せ、毛皮の下処理を丁寧に行ない制作されている。そこでの存在しない獣を視覚化するにあたっては、動物に対する畏敬の念も然り、獣のかたちをした作者の姿なのかもしれない。そこに露わにされた奇獣の姿は眼の前に存在しており、単なる怪獣ではないその眼球からは作者が見つめる現代への眼差しと重なり、叫び声でもあるに違いない。 日本画学科教授 間島秀徳
作者より
実際に狩猟された9匹の鹿の毛皮を利用した作品である。
近年野生動物の増加により農業や山が多大なダメージを受けており国から駆除が勧められているが、そのうち肉として利用されるのは1割程度であり、その他の部位は殆どは破棄されてしまう。その破棄予定であった生皮を猟師さんから頂き、自身で鞣した。
この作品を通じて環境問題への理解が深まらずとも、まずはほんの身近に、すぐ隣に野生動物が存在しているという事を知ってほしいと感じる。
獅子野あんころ
担当教員より
獅子野あんころが作る立体作品は、造形物ではあるものの、作者の学部時代からの強い民俗的な信仰心によって支えられており、日本画における膠や筆になる天然の動物素材そのものを直接猟師から取り寄せ、毛皮の下処理を丁寧に行ない制作されている。そこでの存在しない獣を視覚化するにあたっては、動物に対する畏敬の念も然り、獣のかたちをした作者の姿なのかもしれない。そこに露わにされた奇獣の姿は眼の前に存在しており、単なる怪獣ではないその眼球からは作者が見つめる現代への眼差しと重なり、叫び声でもあるに違いない。
日本画学科教授 間島秀徳