伊林和香

IBAYASHI Nodoka

多角的な視点を獲得するための思考と図の相互作用―多面体を利用した対話による相互理解の試み―
Interaction between thoughts and diagrams to gain multifaceted perspectives: An attempt at mutual understanding through dialogue using polyhedrons

紙、PC
年表|H2000 × W3620mm
立体作品|約H100 × W100 × D100mm(6個)
映像|38分11秒
論文|139ページ(81,115字)

作者より

本研究は、他者の一面的な捉え方への問題意識をきっかけとし、他者への視点を多角化する視覚システムを探究した。
ここでは、「新大陸」が発見されて以降21世紀までの人種・民族・社会の捉え方の調査をし、近代における自民族中心的な視点の克服を踏まえた上で、思考を外在化させる際の行動や、思考と図化の相互関係についての観察・分析を行い、探索的な実験を重ねた。実験を踏まえて正二十面体というメディアを提案し、それを用いて「他者を捉えること」を再考する。

伊林和香

担当教員より

本研究は、人間が他者を目の前にした時に行う「分類」行為を問題視し、他者を「多角的に」捉えるためのコミュニケーション・ツールを模索するものである。著者はまず「人種」概念をはじめとする他者の価値づけの歴史を遡り、そこでの気づきに基づいて、多面体を用いたグループ・ディスカッションの実験を行なっていった。無自覚な差別へとつながる現代的主題にデザインの立場からアプローチした、野心的研究だといえるだろう。

視覚伝達デザイン学科准教授 大田暁雄