呉笛

WU Di

disappear, appear

プレゼンテーション|3Dプリント 樹脂、紙、ディスプレイ
立体|H800 × W2000 × D4000mm
本|H210 × W297mm
動画|約10分

作者より

すべり台で遊ぶ時、瞬く間に人が入口から姿を消し、また一瞬で出口から現れ、魔法のように見えることがある。上から下まで滑るというより、「隠す・現れる」の現象にこそすべり台の面白さの本質があるのではないだろうか。洞窟の明るい外側と暗い奥底、迷宮に秘められた秩序とカオス、空間の上下など互いに作用し合う関係性を分析し、「隠す・現れる」を滑る形に落とし込んでいく。それらを立体的に点在・交差・合流させていくことで、大きな空間的広がりを持つスケールからすべり台の新たな解釈を試みている。滑り降りる角度、向きなど滑り方そのものの設計。始点から終点までの滑走する距離と時間の設計。0階と1階の空間を上下に隔てることでできる「隠す・現れる」がある空間の設計。ただ単に複数のすべり台を並べているのではない。このような複合的な設計を通して、滑るランドスケープは生まれる。

呉笛

担当教員より

「現れる/消える」という新たな解釈を滑り台の概念に持ち込み、滑ることに特化したプロダクトを集結し連結させたランドスケープである。この遊具群は滑って遊ぶ本人だけが楽しいわけではない。滑り降りる他者の動きを遠目に眺めながら、二層構造が作り出す空間のダイナミズムを目で遊べる点もユニークである。造形美を保ちながら安全性を補完することを徹底して研究し、いつか人生をかけてこの計画を実現してほしいと願っている。

基礎デザイン学科准教授 三澤遥