ジャン・カイシは小さな水滴から大海まで、循環する水の様相を捉えようとして多様な情景を捉えようとしていたが、最終的に「A drop of water」と命名された、極小の水滴のインスタレーション作品にたどり着いた。実験用の極細のスポイトの先から送り出される極小の水の塊を、緻密に展観する装置を考えることで、着眼の独自性とデザインの方法にたどり着いた。「本当に美しいものは、一番身近にあった」と、当人が語っている通り、極小の水滴は表面張力が重力を凌駕する不思議な質量の世界であり、その現象を用いた、あえかな、そして限りなく繊細で美しい水の様相を捉えた作品を完成させるに至った。
作者より
水は、私たちの生活にありふれている存在だ。地球の七割は水で覆われていると言う。その中でも一滴の水に着目し、ジュエリーに見立て展示した。触れてしまうと零れ落ち、瞬く間に蒸発してしまう。
極小な水の玉が膨らみ、球体として構造物の先端に乗った瞬間、周囲の風景を捉え、その中に映し出す小さな水球は、まるで凝縮された惑星のように見えた。目の前に存在するこの一滴から、全ての水が織りなす生の情景が構成されていると思うと、たった一滴の水の中に、この星に私自身が生まれる以前の物語が垣間見えるようだった。
ジャン カイシ
担当教員より
ジャン・カイシは小さな水滴から大海まで、循環する水の様相を捉えようとして多様な情景を捉えようとしていたが、最終的に「A drop of water」と命名された、極小の水滴のインスタレーション作品にたどり着いた。実験用の極細のスポイトの先から送り出される極小の水の塊を、緻密に展観する装置を考えることで、着眼の独自性とデザインの方法にたどり着いた。「本当に美しいものは、一番身近にあった」と、当人が語っている通り、極小の水滴は表面張力が重力を凌駕する不思議な質量の世界であり、その現象を用いた、あえかな、そして限りなく繊細で美しい水の様相を捉えた作品を完成させるに至った。
基礎デザイン学科教授 原研哉