佐藤慧

SATO Kei

Leave an impression Ⅳ
Leave an impression Ⅵ

寒冷紗、ジェッソ、岩絵具、墨、エポキシレジン
H4210 × W1800mm
各H900 × W3600mm ×3点

作者より

自然の理を素材で表現したいと
ひたすらに追い求め
辿り着いた先に見つけたものは
自分の手を動かした後の痕跡であった
求めていたものは痕跡として残っていたのだ

佐藤慧

担当教員より

彼の作品は、日本画特有の画材である岩絵具のザラついた肌合いと、樹脂による艶やかな黒々とした対比が織りなす構成からなっている。作品自体は水平と鉛直に一定間隔のルーティンにより区切られた升目によるものと、予め定めたプリシプルのリズムに則して鉛直に区切り、素材も技法も1作品目と同じく施した平面をさらに上中下段と分けた3枚組からなる2作品である。
彼の創作の原点には、仏教学者鈴木大拙の説く禅の「瞑想」からインスパイアされたものがあり、これらの作品は、我々は自らを見、自らの声に耳を傾け、感じるものへの気づきを広げていく。即ちこの世の生命体は全てが繋がり、一体であるということを感じる瞬間、「悟り」の境地へと誘う装置といってもよい。
人の想いや感情、主義主張を鑑賞者に押し付けるのではなく、重力からなる自然界の構成の理である水平と鉛直を用いたシンプルな構図。岩絵具による大地と樹脂による自らを映し出す水鏡の見立て。これらをただひたすら予め定めた制作過程を無心にこなすことが彼にとってもマインドフルネスとなり、自らもまたそこに救いを見出したのではないだろうか。

日本画学科准教授 岩田壮平