竹間祐佳

CHIKUMA Yuka

若者ことば

論文|12ページ 9,885字

作者より

本研究では、若者ことば研究において対象の定義付けが90年代に米川明彦が発表した内容から更新されていない点を中心に、対象の定義に関する問題を明らかにした。激しい淘汰の中で変化し続ける若者ことばを、構造ではなく表現の観点から観察し再定義することで、細分化され個別の事象に枝分かれしていた要素を包括し、若者ことばの全体像を捉えることを可能にした。

竹間祐佳

担当教員より

竹間は本稿で「若者ことば」の定義が90 年代から更新されていないことを明らかにし、若者ことばを構造ではなく表現の観点から再定義することで、若者ことばを新しく捉え直すことを目指した。また若者ことば特有の「ノリ」について、R・ヤコブソンの「転位」と関連づけ、人が世界を表現する際に「何を」ではなく、「いかに」表現するかに注視し、本性的に言葉の創造性を楽しむ姿勢を持っていることを示唆した。また詩的言語の相互推測という概念の検討から若者ことば的なものが一過性の流行ではなく、手書きから〈打つ〉などという発話行為の転換が人々の「ことば」を今後さらに変化させていくだろうと予測する。大変知的で刺激的な論考である。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策