ドル萌々子

DOLL Momoko

空間として、距離感

インスタレーション|雲肌麻紙、高知麻紙、薄美濃紙、キャンバス、木材、岩絵具、油絵具、色鉛筆、鉛筆
サイズ可変

作者より

人と人の間には距離が存在する。
互いの境界が曖昧になっているようにみえた家族や友人との写真と異なる視点が一つに重なる多重露光の写真をきっかけに、私たちの間にある距離を見つめ、受け入れ、さらに境界をあやふやにしながら、重なり、寄り添い合える方法を見つけようとした。

ドル萌々子

担当教員より

以前は空間の色彩表現が特徴的なドル萌々子であったが、大学院では距離感を意識して制作していたようだ。
人と人、作品と人など様々な距離感を考えるなかで作品を通したコミュニケーションへの興味も感じられた。
フィルムの多重撮影から得た写真から制作したり、支持体となるパネルに凹凸を作ったり、変形パネルで描くことなどを試し、インスタレーションとして展示することでこの修了制作を作り上げた。
そこにはその距離感という意識が強く反映されているが、私には個人的な体験から始まりながらも自己から離れた存在をどのようにして得るのかという試みのようにも感じられた。
自己表現として強い個性を何かと期待されるこの世界にあって、自然体で画面と対話するように作られたこの作品にはドル自身の日常生活がごく自然に表現され、同時に同時代の生活感が現れている。

日本画学科教授 尾長良範