三浦梨沙

MIURA Risa

Sorry, I’m so stupid.

インスタレーション|キャンバス、油絵具、紙、段ボール、本、リボン、栞、Tシャツ、ほか
サイズ可変

作者より

頭の中が常にぐちゃぐちゃ。小さい頃劇で演じた聖書の話、読みかけの漫画、冷蔵庫の中のりんご、聴いてる曲で連呼されるshit、燃えるゴミ、タロットカードの占い、UFOに似たなにか、昔の絵の変な顔の犬、部屋の中に積んである本。毎日違う悪夢を見る。

三浦梨沙

担当教員より

三浦は以前から麻の色を生かしたローキャンバスに擦れるような独特のテクスチャを使いながら、古今東西の絵画や漫画、また日常の中に見られる象徴的な形象を抜き出し、それらを組み合わせることで、元々あった文脈とは異なるウィットに飛んだユニークな絵画を制作してきた。
しかし修了展に於いては絵画作品と共に、彼女の絵画空間を展示空間全体に広げたような手法で、絨毯にペインティングした作品や(観客は知らず知らずにその上を歩くことになる)、ダンボールの上に本を複数積んで色とりどりのスピン(しおり紐)をページから取り出したオブジェ、またアメリカやヨーロッパなどの住宅街でみられる「シューフィティ(電線にスニーカーを引っ掛ける)」(単なる子供の遊びなのか、犯罪集団のテリトリーをしめすサインなのか、誰かの追悼のためか、その意味は諸説あるのだが)を思い起こさせるように天井にスニーカーをぶら下げた作品、また「sorry cake」といったジョークとも思える写真を複数枚組み合わせた作品など、様々な表現方法で巧みに会場にトラップを仕掛け、作品の世界観を大きく展開してみせた。それらは単に表現方法が異なるだけではなく、絵画同様、アニメやゲーム、小説から美術史、また様々な地域の因習などといった、まるで関係の無いもの同士が出会い結ばれる。
三浦は単に異なる領域を並列し見せているのではない。
それらをどのように繋ぎ切断するか、色彩・マテリアル・明暗・配置といった多数の造形(言語)を駆使しながら、文法を巧みに組み替えていくのである。観客はそれらの相互の関係性を探りコンテキストを読み取ろうとするが、はっきりとした連続性はなく想像の余白が漂う。三浦は時に皮肉交じりに、私のやっていることを理解できる?と言わんばかりに人を食ったような作品を提示して見せる。しかし彼女はしたたかに表現の豊かさとは境界を越えて横断しなければ手にすることは出来ないことを知っている。観客がその余白をどのように解釈し読み込んでいくのか、三浦自身が楽しんでいるようである。

油絵学科教授 丸山直文