中川未貴

NAKAGAWA Miki

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雲肌麻紙、水干絵具、岩絵具、墨、鉛筆
H1818 × W2590mm

作者より

誰かの増えていく過去。
誰かの減っていく未来。

その定められた尊い時間は、本人にも、他人にもコントロールできない。
そこに無常観に似た感情を抱いていた。

その感情に抗わず、1人で静かに内省しながら出来事を見守る様子を、全ての人の行く先を祈念しながら描いた。

中川未貴

担当教員より

中川のドローイングには以前から詩的で物語の断片のような印象を感じていた。大学院への進学後はその断片が集積されたり空間を含んだりして、より観る人が様々な物語を喚起されるかのような展開を見せてきた。修了制作でも大画面に繊細で淡い調子と微細な線描を重ね、密やかな言葉使いで物語を語るかのように画面を作り上げている。
強いメッセージや主張を感じるものではないかもしれないが、穏やかにたんたんと描かれた作品からは作品と対話することの楽しみが感じられる。

日本画学科教授 尾長良範