松尾華子

MATSUO Hanako

切り取られた庭
clipped garden

紙、インク、木製パネル、リトグラフ
[最小]H200 × W200mm〜[最大]H1080 × W1500mm(10点)

作者より

どこかで見た形。それは街や雑誌、インターネットの中など様々だが、私はその中から何気なく形を切り取り、ドローイングをする。切り取り、重ねてまた切り取り、そうしていくうちにただの素材だったイメージたちが、違うものへと生まれ変わる。切り貼りすることで、版にすることで見えてくるものに興味があるのだ。
しかし、どうしていつも植物のようなものを描いているのか、自分でもはっきりしない。一つ言えるとしたら、植物がどこにでもあるからだと思う。どこにでも広がり、どこにでも使われる存在の面白さに惹かれてしまうのかもしれない。自分が見たもので、庭を作るように、広げるように描きたいと思う。

松尾華子

担当教員より

植物のようなイメージと独特な空間表現が印象的な、作者の造形能力が存分に発揮された作品群である。画像のコラージュを繰り返してイメージを固め、それをいくつかの版に分解し、インク層が刷り重ねられて現れる画面は、不思議な質感ともに魅力的な空間感を創り出す。版による表現は、間接的な技法ゆえに制作過程でおのずと客観性を生む。つまり作品との距離ができるのである。版画は、いわばこの他者性というべき要素を含んでいるため、その性質と表現内容が合致した際には、たいへん明快で訴求力のある作品を生む。松尾の作品は、まさに版画でしか得られない独特の空間性とイメージによる訴求力を獲得している。このオリジナリティー溢れる作品は、感性とメチエが高いレベルで融合する優れた版表現として大いに評価したい。

油絵学科教授 遠藤竜太