三原陽莉

作者より

私は2年間、「家とは何か？」という問いを立て、「モノから作られる建築」が持つ可能性について研究してきた。本来、建築に従属している14の「モノ」を、それ自体が独立性をもって自立するよう拡大、変形、複製により強調し、それらを集めて組み合わせることで、そこに新たな居場所や生活行為を生み出していく。モノ自体が持つ魅力やストーリーに人が住み着いていく、モノから作られる建築には、その可能性があることを期待している。

三原陽莉

担当教員より

建築の一部として統合されている「モノ」を、決められた役割を担う「構成要素」から一度解き放つ。するとそれらは独立したエレメントに変容、多義的で多用途的な様相をまとう。その「モノ」同士を再度絡めるときに生ずる干渉やずれに、作者は新たな居場所の可能性を見出した。「拡大・変形・複製」という手法でモノを操作しながら組み上げた集合住宅は、既成概念から大きく逸脱し、私たちに「家とは何か？」と問いかけてくる。

建築学科教授　高橋晶子