チン リン

CHEN Lin

日中銅鏡の文化史 ─古代世界観に関する探究─
Cultural History of Sino-Japanese Bronze Mirrors: An Inquiry into the Ancient Worldview

論文|136ページ(65,000字)
年表|H5200 × W1960mm
映像|1分37秒

作者より

最初の鏡は、西域から中国や日本に伝わり、歴史的記録のメディアとして、日中両国間の文化が形成するプロセスを表象しているものである。その中で先人は、世界を観察し記録して、天空に関する知識や信仰を形成させてきた。次第に世界観における宇宙観が浮かび上がってきたのである。その宇宙観は、先人たちが世界の秩序構造をイメージし、人間と宇宙の関係を描いたものであると考えられる。本研究は、日中銅鏡を中心に文化史整理と記号分析を行い、平面的銅鏡に隠された立体的な構造を明らかにしたいと考える。

チン リン

担当教員より

作者は新石器時代以降の中国および弥生時代末期以降の日本において出土した銅鏡を歴史的記録のメディア、両国文化の起源から形成に至るプロセスの表象と捉えている。彼は膨大な先行研究を調査し、可能な限りの画像を収集することでその歴史を辿り、その中で視覚的図像の意味を比較検討しながら推論を行なっている。本論はその作業から浮かび上がる古代の自然観と世界観、その変遷の歴史である。特にその図像に込められた多層的な宇宙空間に関する論考には大変な説得力がある。

視覚伝達デザイン学科教授 寺山祐策