北原江里香

KITAHARA Erika

元永定正における形態と⾳声の融合ータイトルの変遷を⼿がかりにー

論文|66ページ(64,882字)

作者より

本論文は、具体美術協会の中心メンバーである元永定正の作品における形態とタイトルの変遷を分析し、両者の融合による「生命感」の構造について考察するものである。元永作品のタイトルが記述的なものからひらがなオノマトペへと移行する過程を、デリダの理論やオパーリンの生命起源説を援用して検証した。結論では谷川俊太郎との共作絵本『もこもこもこ』を転換点に、形態と音声が相互規定的に作用し合う代謝的構造を提示する。

北原江里香

担当教員より

本論文は、具体美術協会の作家として知られる元永定正の絵画に現れる独自の形態と作品タイトルがもつ音声性との関わりについて、その活動時期を6つの時期に分け、研究したものである。本論ではとくに、谷川俊太郎と共作した絵本『もこもこもこ』でオノマトペが導入された結果、その後の絵画作品でもオノマトペが使用されることになった点が重視された。本論は、聴覚と視覚が顕密に結びついた絵本というメディアとの遭遇や、タイトルの考察を通して、元永の作品に潜在的にはらまれていた横断的な特質を明らかにしたという点で評価される。

美学美術史研究室准教授 沢山遼