ライジアユイ

LAI Jiayu

SHIRO代、YA屋、JO畳

ヒノキ、い草、合板、ウレタンチップ、カネライト畳フォーム、インシュレーションボード、和紙
H1437 × W1378 × D1360mm、H1020 × W1548 × D1640mm、H380 × W2618 × D2618mm(4点)

作者より

日本の木造建築は、柔軟さと精密さを併せ持ちながら、長い歳月にわたり人の暮らしを支えてきた建築文化である。その背後には、素材と真摯に向き合い続けてきた職人の叡智が存在する。それは単なる構造技術ではなく、暮らす人の生き方に寄り添う真心の表現である。本展示における三つの家具──SHIRO・YA・JO──は、日本人の精神性と建築的構造美を現代の生活空間に再構築する試みである。

SHIRO は、「余白(emptiness)」という日本人の美意識を主題とした家具である。三方を障子で囲んだ空間に身を置くと、情報が遮断され、光と香りに包まれながら呼吸が深まり、意識が内へと向かう。古代日本人が神を迎えるために「何もない空間」を設けたように、この家具は現代における“内なる静寂”の場を提示している。

YAは、柱と梁が精密に噛み合い、互いに支え合う木造建築の構造原理をモチーフとしたパブリックベンチである。そこに座る人々は互いを意識せず、しかし背をあずけた瞬間に、見知らぬ他者と同じ構造を共有していることに気づく。公共空間とは、他者の存在と共に在る場所であり、このベンチはその「共存のかたち」を可視化する装置である。

JOは、かつて畳が果たしていた多機能性を現代に再構築した家具である。寝る・食べる・くつろぐといった行為を一枚の面が受け止める自由さをもとに、用途に縛られない生活の自在性を提案している。角度を変えてソファーとして用いることも、茶器を収納することもできる。どの場所にあっても「畳の自由」を再現する可動的な和の空間である。

三つの家具は、「自己と向き合うための余白」「他者と支え合う構造」「生き方を主体的に選ぶ自由」という三つの価値を体現している。それらは、古来より継承されてきた日本人の精神と美意識を、現代の生活文化に呼び戻すための構築的な試みである。

ライジアユイ

担当教員より

日本の木造建築という広く複雑な領域から、研究テーマに沿った要素である、”屋””代””畳”を明解に引き出し、その3要素のバランスを保ちつつ、最終制作物の”畳”に至るまで集中力を切らさず、研究を敢行したところが高く評価された。計画性、実行力、そして制作物のクオリティにいたるまで一貫した強度があり、また制作物に添えたアニメーションの質も高く、研究内容や目的が明確に表現されていた。

工芸工業デザイン学科教授 熊野亘